はじめに

VIA Mobile360 D700では、デバイスに搭載されたAIによる事故防止機能 、または、ドライバー監視機能を利用することができます。これらの機能を利用するためには車両に設置した後にその車両に合わせた調整作業を行う必要があります。


注意事項

デバイスの性能の制限により、事故防止機能とドライバー監視機能の両方を同時に利用することはできません。いずれか一方のみを利用できます。また、これらの機能は簡易的な機能であり、誤検知や検知漏れが多く発生します。実運用前に十分な評価を行ってから利用するか否かを判断してください。


AI機能の概要

VIA Mobile360 D700には、LDW (Lane Departure Warning:車線逸脱警報), FCW (Forward Collision Warning:前方衝突警報)、DMS (Driver Monitoring System:ドライバー監視システム)のAI機能が内蔵されており、リアルタイムで車内のドライバーに警告をすることができます。また、重大な警告が発生した時にはそのときの前後10秒(20秒)の動画が自動的にMODE モビリティクラウドに記録されます。


これらのAI機能を有効化するためには、車両ごとにキャリブレーション作業を行う必要があります。


AI機能

警告のトリガー

車内警告

動画記録

LDW *注1

車速 > 60km/h

あり

なし

FCW - 警告

低:0.8秒 > 衝突までの時間 > 0.4秒

中:1.0秒 > 衝突までの時間 > 0.6秒

高:1.2秒 > 衝突までの時間 > 0.8秒

あり

なし

FCW - 緊急

低:衝突までの時間 < 0.4秒

中:衝突までの時間 > 0.6秒

高:衝突までの時間 < 0.8秒

あり

前方動画

* 注2

Distracted Driving

よそ見運転

車速 > 20km/h かつ 車線が認識されている場合

あり

車内動画

Driver Fatigue
眠気(あくび)

車速 > 0km/h

あり

車内動画

Phone Usage

電話使用

車速 > 0km/h

あり

車内動画

Smoking

喫煙

車速 > 0km/h

あり

車内動画


制限事項:

注1:LDWは通常の車線変更時にも車内警告が行われます。

注2:FCWは車速が40km/hの場合にのみクラウドへの記録が行われます。

注3:FCWとDMS (Distracted Driving, Driver Fatigue, Phone Usage, Smoking)の機能は同時には利用できません。どちらか一方のみ有効化できます。

注4:標準の車内警告音は英語メッセージとなります。変更についてはMODE担当者にご相談ください。


AI機能

警告メッセージ

LDW

Watch your lane

FCW - 警告

Too close

FCW - 緊急

(ブザーによる警告音)

Distracted Driving

Pay attention

Driver Fatigue

Pay attention

Phone Usage

Stop using your phone

Smoking

Stop Smoking


車内への設置ガイドライン

FCWとLDWの検知精度を向上させるために、以下の通り車内に設置してください。


  • D700はフロントガラスの中心から左右10cm以内に設置してください。

  • 取り付けの高さは、地面から1.3m ~ 2.0m以内に設置してください。

  • フロントカメラのレンズがワイパーによって隠れないようにしてください。

  • 車速をリアルタイムに正確に取得するためにOBD IIと接続してください。FCWで衝突までの時間を予測するために必須となります。OBD IIから車速を直接取得できない場合、車速はGPSから計算されますが不正確となります。

  • DMSを使うためには、ドライバーから車内側カメラまでの距離を90cm以内、また、ドライバーの顔の中心からの高さが40cm以内となるよう設置してください。



アプリのダウンロードとD700との接続

AI機能を利用するためには、VIA Mobile360アプリをインストールして、AI機能を利用したいD700と接続をする必要があります。


アプリのダウンロード

QRコードをスキャンしてVIA Mobile360アプリをダウンロードしてください。


Google Play Store for Android

App Store for iOS devices


D700との接続

VIA Mobile360アプリを起動してください。スマートフォンのWi-Fi設定を変更し、Wi-FiでD700と接続してください。D700の電源を入れるとスマートフォンのWi-Fi設定画面に“VIA Mobile360_XXX”が表示されます。デフォルトのパスワードは“12345678”です。


1.アプリの起動

2.Wi-Fiの接続

3.接続中のアプリ

4.接続後のアプリ


接続ができると、ライブカメラ映像と地図が “Live” タブに表示されます。左側の赤い丸い車のアイコンはADASキャリブレーションが完了していないこと、また、右側の赤い丸い人のアイコンはDMSキャリブレーションが完了していないことを示します。キャリブレーションが完了すると緑色のアイコンで表示されます。右上の歯車のアイコンをタップするとデバイスの設定を変更できます。


DMSキャリブレーション

正確にドライバーの状態をモニタリングするために、カメラの検知エリアにドライバーの頭部が映るよう調整する必要があります。調整を始めるためには、 “Live”タブの右側にある赤いDMSアイコンをタップしてください。車内カメラのライブ映像が表示されます。


運転席側の四角を選択してください。右ハンドルの場合は“R”、左ハンドルの場合は“L”の四角を選択してください。タッチした側の四角の枠内にドライバーの頭部が映るよう、車内カメラの角度を調整してください。



カメラの角度の調整ができたら、“Calibration”ボタンをタップして調整を完了してください。調整が完了すると、 “Live” タブに戻ります。DMSアイコンが緑色になっていること(キャリブレーションが完了したこと)を確認してください。


DMSは走行中のみ動作します。動作確認を行う際は十分に安全に配慮して行ってください。よそ見運転や眠気のテストをすることは危険です。電話使用または喫煙で動作確認をしてください。以下のいずれかのAI機能が動作していればDMS機能の調整は正常に完了しています。


AI機能

警告が行われる例

Distracted Driving

よそ見運転

車線が認識される道路(例:高速道路)を走行中によそ見をする。


Driver Fatigue
眠気(あくび)

走行中にあくびをする(または目を閉じて眠る)


Phone Usage

電話使用

走行中に手を耳元に当てる

Smoking

喫煙

走行中に白い棒状のもの(例:ストロー)を口でくわえる


ADASキャリブレーション

ADASキャリブレーションを行うとFCWとLDWの機能が利用できるようになります。ADASキャリブレーションでは、高速道路や幹線道路のような車線がはっきりと見える道路を、30km/h以上で30~60秒間走行する必要があります。作業は安全に配慮し、運転手以外の人が行ってください。


はじめに、 “Live”タブの左側にある赤いADASアイコンをタップしてください。車高(Vehicle Height)、カメラから天井までの高さ(Distance from Camera to Roof)、全長(Vehicle Width)、ボンネットの長さ(Hood Length)を入力するダイアログが表示されます。車検証等を確認し、各数字を入力してから “OK”をタップしてください。



次にフロントカメラのライブ映像が赤い枠と赤い点線とともに表示されます。赤い枠内に地平線が映るよう、また、赤い点線が地平線に出来るだけ近づくようフロントカメラの角度を調整してください。


カメラの角度の調整が完了したら “Calibration”ボタンをタップしてキャリブレーションを開始してください。“Starting ADAS calibration” という音声メッセージが再生されます。音声メッセージ開始後に運転を開始してください。車線がはっきりと見える道路を、30km/h以上で少なくとも30秒以上走行する必要があります。キャリブレーションが完了すると“ADAS calibration complete”という音声メッセージが再生されます。完了すると、 “Live” タブに戻ります。ADASアイコンが緑色になっていることを確認してください。


キャリブレーションには3分間の時間制限があります。30km/h未満で走行していた場合や車線がはっきりと見えなかった場合等にはキャリブレーションが失敗することがあります。キャリブレーションに失敗した場合、”ADAS calibration failed” という音声メッセージが再生されます。再度最初からやりなおしてください。


ADASは走行中のみ動作します。動作確認を行う際は十分に安全に配慮して行ってください。前方車両との車間を詰める等の危険なテストは行わないでください。前方車両の種類や色によっては動作しないことがあり非常に危険です。


AI機能

警告が行われる例

LDW

車線がはっきりと見える道路で車線変更をする(例:高速道路の走行車線から追い越し車線に車線変更)

FCW

走行中に、前方車両との車間を詰める

走行中に、他の車両に割り込まれる

十分な間隔を開けずに停止車両やバイク、自転車の追い越しをする



デバイスの設定

“Live”タブにある”Device Settings”ボタン(右上の歯車のアイコン)をタップするとAI機能を含むデバイスの設定を変更することができます。



Trip:

  • Units - アプリで表示される単位(メートル、マイル)を変更できます。.

  • Alert Recording Duration - 警告時に記録される動画の長さ(アラートが発生してからの長さ:10, 20 または 30 秒間)を変更できます。アラートが発生する前の10秒間も追加されます。

  • Alert Sensitivity - 衝突検知の感度を変更できます。“High”(高感度)はより多く、“Low” (低感度)はより少ない警告になります。

  • Audio Recording - 自動で常時録画される動画で音声を録音するか否かを変更できます。警告時に記録される動画はこの設定に関わらず常に音声が録音されます。

  • Alert Volume - 警告時の音量を4段階で調整できます。

  • 2-Way Call Volume - MODE モビリティクラウドでは利用しません。


Network:

  • Wi-Fi Mode - Wi-Fi mode を変更します。日本向けのD700では変更できません。

  • Wi-Fi Name - D700のSSIDとパスワードを変更できます。

  • IP Address - VIA Mobile360 D700のIPアドレスが表示されます。

  • MAC Address - VIA Mobile360 D700のMACアドレスが表示されます。


Device:

MODEからの作業依頼がない限りSDカードのフォーマットやデバイスの初期化は行わないでください。MODE モビリティクラウドで動作しなくなります。

  • Device Model - モデル名が表示されます。

  • Firmware Version - ファームウェアのバージョン名が表示されます。

  • MicroSD Card (Available/Total) - マイクロSDカードの容量(空き/トータル)が表示されます。

  • Format MicroSD Card - マイクロSDカードをフォーマットします。

  • Reset - デバイス設定をデフォルト設定に初期化します。


Vehicle Configuration:

衝突検知やドライバースコア、燃料消費量の精度を高めるために利用されます。

  • Vehicle Weight - 車両重量を“1.8トン未満”, “1.8-3.5トン”,  “3.5トン以上” から選択してください。

  • Tank Capacity - 車両マニュアルを参照し、正しい燃料タンク容量を入力してください。

  • Displacement - 車両マニュアルを参照し、正しい排気量を入力してください。


AI Features:

ADASやDMSのキャリブレーションが完了すると、LDW、FCW、DMSの機能を有効・無効にすることができます。FCWとDMSは同時に利用することはできません。

  • ADAS Audio Alerts - LDW と FCWの音声警告を有効・無効にできます。

  • DMS Audio Alerts - DMSの音声警告を有効・無効にできます。

  • FCW Level - FCSの感度を低(Low)、中(Mid)、高(High)から選択できます。


注意事項

キャリブレーションや設定変更が完了した後は、スマートフォンのWi-Fi設定から接続解除とWi-Fi設定の削除を行ってください。スマートフォンが常時D700に接続される状態のままとなっていると、スマートフォンが車内で動作しない等、予期せぬトラブルの原因となります。